『理解できる恐怖』 ミッドサマーを三回観たので感想を書く

レビュー記事
闇堂
闇堂

コロナも収束に近づきつつある今、ギリギリやってた2回目となるミッドサマーを見終わったたので感想を書こうと思います!(※6/12時点)

各所で話題となった『ミッドサマー』。小さな村の夏至祭をテーマとしたホラー映画でございます。監督は『へレディタリー/継承』で一躍有名になったアリ・アスター。ギスギス描写と演出力が見せ所な人です。

公式サイトに解説ページがあるほど設定命!!なこの映画ですが、 ルーン文字だのケルトがどうこうといった解説は私には出来ないので、ありふれたレビューをしたいなと。

ミッドサマー見て思いませんでした?
「なんじゃこの面倒臭くてクズな奴らは!!!」と。
まず初っ端からですよ、妹に連絡がつかなくて不安な主人公ダニーが彼氏クリスチャンに電話するわけです。んで、彼氏の方も外出中だけど「後でそっちに行こうか?」みたいに言ってくれる。
あと余計なことも。「妹のことは気にしない方がいい、君が構うからエスカレートする」なんて少しデリカシーの無い発言だ。ダニーはぶった切るように「いいえ!分かってる分かってる分かってる…そう言って欲しかった」って。
それから、取ってつけたように「愛してる」の言葉を交わし合った。うーん不穏。

んでダニー、女友達にも愚痴ってる。あー、うん。女ってそういうとこあるよね…。「いつも不安になったらクリスに電話しちゃうの、彼きっと私のこと鬱陶しがってる。嫌われちゃったわ絶対」…なんて、ペラペラ話してるダニー。
分かる。その気持ちは分かる。でもそういうトコやろ鬱陶しがられる原因は!!!とも思う。
ダニーもダニーで中々めんどい女こじらせてんですよねー。
返信が来なくて何度もメール。妹のフェイスブックには「父と母も一緒に連れていきます、さよなら」なんてログが。実家にも留守録。とどめの洋画定番、錠剤グイ飲み。ザ・メンヘラである。
そしてそんなことをしている内に非通知の着信が………。

電話を切られたクリスチャンの方は大学院の友達とバーで呑み中。猥談かましつつも、
「1年前から別れようとしてたんだからさ」
「お前マゾだろ。面倒な女にかまけて将来のことから現実逃避か?」
「おいおいまた電話かよあの女。セラピストに任せろよ」
とかって話をしてる。ここだけ切り取れば相当クズい話に聞こえるんすよね…。
不安症のダニーについ優しくしちゃうクリスチャンだけど、裏では別れたくてしょーがない。でもそれが彼女を追い詰めちゃいそうで別れを告げられず、いつもなぁなぁで済ましちゃう。そんな心理が手に取るように分かっちゃう。
そういった話をジョーク交じりに話してる男ども。女からすればふざけんなクソヤロー!付き合ってんだから真面目に考えたれよ!…てなっちゃいますよね。
2回目みるまでは私そう思ってました。

んで、おんおん泣くダニーとそれを慰めるクリス。クリスの膝に突っ伏して一人構わずな具合で泣き続けるダニー、纏わりつくみたいにおざなりに背中やら肩やらを擦るクリス。
クリスの「あー、やってらんねぇ…」って心の声が聞こえてきそう(笑)
なんていうか向き合ってないんすよねこのカップル…。今にもベロンと剥がれちゃいそうな感じ。
それがまた気持ち悪くて、でも、それが良い。
『へレディタリー』の方でも思ったけどこの監督さん泣き声の使い方が上手いんだよなぁ。

少し時間が経ったのか、昼日中にダニーの部屋を訪れるクリス。
「実はこれからパーティーがあって誘われてるんだけど…」なんて言い出す。
んで、彼氏の男友達のパーティーについていくダニー。そこで初めて、彼らがスウェーデンへの旅行を計画していることを知る。クリスは気まずそう。
こっそりムカついてますよって感じのダニー。帰ってから何で言ってくれなかったか問いただすと、クリスはまぁ辻褄の合わない言い訳をするし…。
でもダニーはダニーで意地悪な感じに当て擦ってくる。
堪らず逃げ帰ろうとする彼氏だが、ダニーは 「ノーノーノーノー!」って引き留めてくる。
余談ですが、 この先何度もそういうシーンが出てくるんだけどまーこのNO連呼が耳につくのよコレ!!w すんごいゴリッとするNOなの。「いや」じゃなくて「違う」って感じのニュアンスっていうか。
そんでダニーさん、「謝らなくていい、話し合いたい、責めてる訳じゃない」と。いやどーすりゃええねん。
まぁクリスも図星だったんでしょうなぁ。でも実際言えないでしょ、言ったら言ったで「え…?あ…うん…いいわよ!大丈夫!いってきて、私は大丈夫!」(全然大丈夫じゃなさそう)的な反応しそうなもんだ。
あと修士論文の話も痛い。旅行に行くのは決まってない論文テーマのためじゃなくて女遊びしたいからだし。Wパンチっすね。

その爛れた旅行も一緒に行こうと決めてしまう。男ら側は空気読めよ…ってなるわな。ペレ(ホルガ村出身)しかダニーに取り合おうとしないし。
家族に置いてかれちゃったから誰かに着いていきたがるんですよね、ダニーはさ。一人にされるのが怖くてしょうがないんすよ、きっと。
でも思う。それ彼氏の男友達グループな必要あったか?と。
女友達おるんやから、そっちに慰めてもらえば良かったんちゃうかなぁ…。
ふとした瞬間にゴワッとさせてくるミッドサマー。そういう生々しいギスギスが、この映画の魅力でもある。

ところでダニーが旅行計画の場に乗り込んでくシーンだけどさ、ここもまたアリ・アスター監督の十八番でちゃってますよねぇ…。演出技巧。
集まってる男たちとテレビ画面に反射してるドア側のダニーの対比とかさ。前半で何度も鏡で見せる演出でてくるけど、そういうの好きよ!カッコいい。
んで、ダニーのよく知らないメンツなのに来て早々に友達Aと別室行っちゃうクリスとか、ぎこちなく話してるけどさりげなくキッチンの方に行っちゃう友達Bとかさ!
見てて「あーあーあーあーあー…」ってなっちゃう!!ww
そんでダニーと2人残されるのがペレなのよね~~~!!!!彼もダニーめんどいオーラ出してるな?と思った矢先に「(家族全員亡くなって)本当にお気の毒に。可哀想だ。僕にも分かるよ」って地雷を踏み抜いていくゥーーー!!!!たまらずトイレに駆け込んでいくダニー。
なんでそんなこと言うんだよお前!!と思うけど、いやちょっと待て。
 もしやペレ貴様、家族への執着を思い出させてダニーが旅行にいきたがる(集団に居たがる)ように仕向けたのか…??
なんかもう、ダニー家心中もダニーがそういう依存症なのも偶然のはずなのに、あたかも全てはダニーが夏至祭に行くように謀られてたの!!?って陰謀論じみた恐怖に駆られちゃう!!
(実際ネットのどっかでホルガ村がダニー妹を陥れた説があった気がする)
そーいうとこですよねこの監督作品の魅力は!何から何まで緻密に仕組まれてて、あとから思い返すとバチバチッと嵌まりこんでく。一粒で二度おいしい気分。
何気ないシーンが理解する内に恐怖に変わっていくんですよね

一行はスウェーデンへ。車内シーンですけど、ディレクターズカット版では猥談ポンポン飛ばしてました(笑)
道路を走る車。それを追い掛ける内にグルリと視界が逆さまになる。どうしようもなく訪れる不安感。良きである。
そうして、どこまでも広がる天国めいた原っぱに辿りつく。地獄へようこそ。
アメリカンチックなフレンドリー風景を見せつけられるダニーたち。Hi!よろしく!とやってたら当然の如く現れるウェルカムドラッグ。葉っぱもキノコもあるよ!やったねダニー!
ヤニカスっぽい常にモク吸ってるマークはウキウキ。けど一人だけドラッグを嫌がるダニー(当然だわな)。
イヤイヤ言って、彼氏もそれに付き合おうとするけど、重い雰囲気の中キノコティーを渡されて…結局飲んじゃうダニーちゃん。なんつーかこの子、強がる割に流されがちなんすよねぇ。どっちつかずな感じがリアル女子。
そして青空の下、みんなでトリップ大会。絵面が間抜けで面白い。
わちゃわちゃ騒いでる中ふとダニーが下を見ると…手から草が生えてくる幻覚が。
私、このシーンでゾッとしちゃいました。だって、言葉のまんま根付いてる訳じゃないですか。
その後ホルガ村に根付いてしまうダニーを暗示してる?…って気づいて。気づいた自分にもゾッとしてしまったんですよ。
 なんていうんですかね。その時はラストの展開なんて知りもしなかったのに、そんな些細な勘違いにも思える発想がバッドエンドを示していて、そんな悪魔的予感をキャッチしてしまった自分の思考回路にゾッとしてしまうんですよ。
 自分の脳みそが歪んでるような気がして怖い。そんで『理解できる恐怖』と銘打ったわけです。
分かりやすい伏線と言ってしまえばまぁそうだけど、そういうのが容易く理解できてしまえるって事実にゾワゾワする。

さて、手から草生えてついでに禁断の家族ワードも飛び出しSANチェック失敗したダニーは駆け出していく。途中何度も心配されて声を掛けられるんだけど、それを拒否って一人トイレにダッシュ。トイレの鏡に映った妹with排気ホースの幻覚にビビッて外へ。パニックになったまま林の中に飛び込んでいってしまう。
私ね、ダニーのこういうトコが嫌いでイライラしちゃいます。
境遇が可哀想なのには同情できるし救われて欲しい。でもダニーは周りから心配されてて、強がって平気ですって言う割には、平気じゃない自分を隠す素振りは一切なくて、しかもそうやって周囲の助けを断り強がったのに直後に瞬速で泣きわめいてるのよ。
 何がしたいんじゃお前!!とツッコミたい。最初に助けられた時点で頼っとけよ!!という。
強がるなら強がるで隠し通せへんの!?結局周りに悟らせて心配させ続けようとしてんのが薄っすら感じるし、そーいう甘えた態度って傲慢でしかねーだろ!!
ホント結局この子、お姫様扱いされたかったんですよね多分。いつも寄り添われていたかったんですよ。だから自分の悩みを解決に導こうとしない。そりゃ予定も調和しますわ!
周りを付き合わすだけ付き合わせて、解決も回復も拒む。それで得られるのはテメーの薄暗い満足感だけだぞと。堪ったモンじゃないですわ。
 はぁー。2回目みてコレを一番書きたかったんですよ!クズ彼氏にザマァして村の女王になってニッコリ、メリバでハピエン共感スッキリみたいなレビューを多々見かけるんですけどね!私も1回目は同じように、クズ彼氏とサヨナラできて良かったねって思ってたんですけどね!!
 ダニーもクズい所あるぞと。むしろお前そんな傍迷惑な性格しといて何を他者犠牲にして幸せになっとんだクソッタレと!!私は言いたい!!!!

というのが2回目を観ての所感です。1回目ではあまりの圧倒的展開で「うわぁ…すげえ…ダニー良かったね…」くらいしか頭に残んなくてボーッとしちゃったのを覚えてます。
今まで見たホラー映画は音とか演出で驚かしてくる系ぐらいだったんですけど、この『ミッド・サマー』は明らかに違う次元だった。なんというか、感情とか記憶とか身体に染みついてるものを恐怖に変えてくる感じで…。頭の芯がザワザワチリチリする感覚。
自分の中の観念的な何かが薄っすら主張してきて、それに気づかされる怖さって言いますか。ダニーや村人たち、男友達連中の持っている狂気や欲望は誰の中にもあるんだっていう。
でもって2回目では、「どうしてこのクズさ異常さに気付けなかったんや?」っていう恐怖ねww
ダニー、可哀想なやつってよりは面倒系女子やん!回避しようと思えばいつでも出来たやん!結局同化されたのは自分の意思やん!!とツッコミどころ満載で。
村人たちに都合よく丸め込まれたとも言えますけど、あくまで選んだのは彼女であって。隠れたエゴが初回見たときは自然に、正当化されてたんですよね。「あぁこの展開ならこうなってもしょうがないわ、ダニーは幸せそうだし良かったね…」って。私らも納得させられてしまってた。
同調意識とか善意に見せかけた悪意って怖いです。
1層目のエログロホラー、2層目のギスギスホラー、3層目の陰謀や演出ホラー、4層目のパッと見スルーしがちな真実ホラーとでも言いましょうか。何層にも魅力が隠されてて見れば見るほどゾクリとさせられる、いやらしくて最高の作品。それが『ミッドサマー』だった。



そんな訳で3回目みるんでレビューしていきます。

私普段はアマプラとauの「TELASA」(旧auビデオパス)っていうVODを利用してるんですけど、
auの方で『ミッドサマー』が先行配信されてたんで見直してみようかなって。上記文を書いた、映画館で鑑賞後のときは冒頭から時系列に余さず書こうとしてて途中で筆が止まってしまいました(´ω`;)
ダニーの悪女ツッコミでエネルギー尽き果ててしまったんで、残りの細々したニヤッと部分を見返しながらメモしていく感じで締めさせて頂こうかなとww

見どころピックアップ

・ 長々と延びるダクトホース。「どーせ中のやつもう死んどるやろ」と言わんばかりにノンビリと突入するレスキュー隊員。ベッドで寝てる(永眠)父と母。その先の顔色悪い妹ちゃん…。

・ホルガ村へ行くシーン。車で村まで行かない辺りが脱走防止っぽくてちょっとニヤリ。音楽と共に迎えられ、荷物を村人に持ち去られて(観客側が)ちょっとヒヤッとする。
いきなりカルトチックな儀式場面に遭遇。なんか声を張り上げる祭司っぽい人。松明を持つ村人。よくよく見たらその2人は後に主役ホラーを飾る老人たちという……。

・手をつないで走ってる中に、後でクリスと姦通するマヤが。その子のちょっかいに誘われて加わりにいくクリス。その直後にペレがダニーの似顔絵を誕プレとして渡してくる。
後の展開を彷彿させるというか、対照的に思えた。挙動不審なダニーの思わせぶりNO連呼も健在である。

・問題の黒魔術的ラブまじないタペストリー。陰毛と経血を混入した食べ物を思い人に食べさせてアッパラピーな目ん玉にするという恐ろしいヤツである(笑)
これ、日本のバレンタインとかでも聞く話ですよねー。こんな常軌を逸したことを片思い相手にするのヤベーわ。どこから来たまじないなんだろ。考えることは皆同じ、というか。これも「理解できる恐怖」って思えます。
これをラブストーリーと言い張るイングマールが一番おっそろしいかもw

・クリスは皆が女王の写真見に行った一瞬でどうやってケーキ用意したんだ!!?www
んでもって蝋燭に火つかないのマジで笑えないギャグだわぁ…。

・寝る時に赤ちゃん泣いてて、すわ「これから先の儀式で赤ちゃん何かされるんちゃうやろな!?」って初回は戦々恐々したけど結局なんも無くてほっとした(´ω`)
赤さんの枕の下にハサミ置いてたのは何だったんだろ…意味深すぎる。

・ルーン文字食卓だけど、何となく席が村人全員分よりは少ないような。儀式的な席なのに部外者のダニー達がそこに加わってる。夏至祭の重要人物たちのための席だったとか?部外者組も後に生贄として大事になるわけだし…。

・そしてアッテストゥパンが始まる。食事が終わり、老人がドナドナされていく。移動して皆は上を見上げてて、高い崖があって。この時点で「あっ(察し)」ですわ…。だからこんなおぞましい事がパッと浮かぶのが異常なんだっつの。理解したくないわ!やめろし!!
あと何気に顔面グシャアに感動しました私。「映画でここまでのグロ許されるんだ…」ていう感動な…。それと音響演出にも。ダニーの荒くなる呼吸と音が遠のいている感覚とが、自分の耳を伝って脳に染み込んできて。あれは凄いと思った。

・ダニーを置いてみんなが車で去ってしまう夢。家族に置いてかれたこと、潰れた老人たちがフラッシュバックのように挟まれる。叫ぶように開かれた口からは黒煙が…。その光景が排気ガス吸入で死んだ妹と重なるようで、グッときた。演出力よ。

・ご神木に小便したマークだけど、村にもトイレくらい設置されてるだろうに。なんでわざわざ木にぶっ掛けたんだか…。これはお仕置き()されてもしょうがない気もする。

・昼食。女の子が「来て」と「見せる」しか言ってないのにアッサリ着いて行っちゃうマークは一体何なんだろうかww アメリカ人でも場の空気に流される的なことがあるのね、とビックリした。そういうのは日本人の専売特許だと思ってたよww それともただの下心か(白目)

・ジョシュ、背後からの一撃にやられる。よくそのシーン見たら、忍び込んで聖典に近づく時に本棚の近くに杵っぽいのがあるのよ!!でもって偽マークに気付いて振り向く時に白服の村人が映っててさぁ!!本棚の陰に隠れてたんよ!!コエーーー!!!
よく考えれば、この1日でロンドンカップルとマークとジョシュ、4人も殺されてるんですよねぇ…。残る部外者はダニーとクリスだけっていう。クライマックスだなぁ。

・ダンス競争。ドラッグティーを煽り、ここでもまた「根付く」幻覚が。まさにこれからダニーが村に取り込まれようとしてる所ですからねぇ…。そして踊り始める娘たち。
クリスは熊と向き合ってる(笑)ここでもまた、クリス(の遺伝子)が村に取り込まれる準備が始まっているのだった!
一人また一人と女の子が倒れていく中、ダニーは皆と踊り続ける。一応前に女王のダンスバトルについて話されてたんだし、ヤバいのを察知して転ぶフリでもしときゃ良かったのにねぇ。流されやすい性格のせいか、ドラッグでハイになってたせいか。
トリップの中でスウェーデン語が分かるようになるダニー。この「踊りによる一体化」ってとこ、日本の盆踊りに通ずるものを感じました。やっぱ共通観念ってあるんすかねぇ。
そして彼女は女王になってしまった。

・幻覚でお花クパクパしてたり植物うねうねしてんの好き。ええなぁこういうキモイ演出。

・お立ち台に載せられて連れてかれるダニーが何故か棒に括られた豚さんのように思えてしまった…。
あとハブられたクリスな。昼食の席でじじいに猫だましを食らい、ドラッグでグワングワン。彼を誘うマヤに妙なライティングが当たっている。この光の演出、『へレディタリー』でもチラッとあったな。ほんと演出が細かい。

・クリスがマヤの待つ部屋へ。この映画のハイライト(?)とも言えるシーンだ。
ハミングする裸のオバサンたちと、どこかボッティチェリのヴィーナス誕生を思わせる裸のマヤ。ストリッパーの如く脚を開いてクリスを誘ってくる。いやぁ、狂気感じるねぇ…。
ていうかよく見たらここ、聖典が置いてあった蔵じゃん…。
そしてイカれた真夏の大運動会が開催。初心者相手に準備も無しでクラウチングスタートとか最低やでクリス!!痛そーなマヤにおばさんAが乱入してきて癒し(?)のエールを送る。ドン引いてるクリス(いや入室の時点でドン引いておけよ…)。
皆で嬌声の大合唱までし始めてレースも中盤。部屋の陰で見守る人も(いつの間に…)
まだ走り終わってもいないというのに、二人三脚の彼らの元へメンヘラ女王が帰ってくる!!漏れ出る大合唱にさすがのクイーンもお察しを隠せない。鍵穴からハッスル現場を覗いてしまい、体調不良でご退場していくのであった。

・「群れ」という言葉がピッタリの様相で、ダニーに合わせて女たちが鳴き声を上げる。同調するような慰めでダニーは満足なのだろうか?彼女はこの後クリスを断じて女王になるけど、こんな上辺だけの案じ方じゃクリスよりタチ悪い気がしてならん。
微量とはいえ込められた心より、一体化するのを望んだということなのか…いやぁ、歪んでるわ。

・運動会も佳境に入っている。頑張って腰を振るクリスのケツを後ろから押すBBA。やべえ。
(余談だが、これと全く同じ描写を昔どっかの鬼女板とかで読んだことがある。長いこと子供できなくて子作りに励んでたら姑が乱入してきて夫のケツを押し始めたという話である。イカれた話なのに同じようなことが世界のどこかで起きてるのか、ってトコまで考えが及んだ時点で心底ゾッとしたモンだ)
BBAの助けを得てやっとゴールしたクリス。マヤはお尻を上げて残滓を奥まで押し込もうとしている(この仕草にも何か馴染みを覚えた。ゾワ~)。
そんな健気()なマヤを他所にクリスが振り返ると全裸のBBAがにっこり。これには流石のクリスも我に返らざるを得ない!!

・ダッシュで逃げ出していくクリス!蔵から全裸で飛び出す。(メチャクチャ蛇足だけどここディレクターズカット版ではモザイク消えててtntnプルンプルン跳ねててめっちゃ面白かったw)
お股を押さえて逃げ出すが、ジョシュの片足犬神家に遭遇するわ鶏小屋でデコレーションされたI can fly男にお出迎えされるわで災難続き。
DEATHブレスを食らい、クリスもご退場するのであった。片目ずつ瞼閉ざされる演出好きよ。

・そして裁きの時がやってくる。ここのシーンでさ、破瓜を象徴するみたいにマヤが赤で彩られてんのグッッと来たわー…こまけーよ!!細かすぎるわ!!さすが!!
あ、クリスさんは当然の如く断罪されてしまいました…。女王、非情なり。
いやー…ホントさ、ダニーは素直に助けてくれる人に真っ当な援助を求めてればちゃんと普通に救われる道もあったと思うのよ。女友達や罹りつけのセラピストだって居たんだしさ。
それをなんか中途半端な強がりで絶って結局ダメで、ただズルズル家族の代わりを探してさぁ…その末にクリス犠牲にして「浮気されて私つらかったわ、だから私もアナタを突き放したっていいでしょ?」みたいな目で訴えて…。
そんで行きつく先が訳の分からん辺境の村の女王()って。アンタそれでいいんかい。
やりきれないっすねー。

・ラストシーン。泣き崩れる女王ダニーだけどマジで何ていうか怪物じみてた。挙動と姿が。
表情も何から何までむかっ腹が立ちました。お前がそんな顔すんな。
後ろには一緒に嘆いてくれる村人たち。私に同情してくれなかった彼氏は断ち切った。さぁ、これから私の王国の始まりよ!ってな感じの満面の笑み。
彼女にとってはこれでハッピーエンドということなんでしょう。

おわりに

長々と語ってしまいました。なんか半分くらいダニーdisになってしまったような気がします。
そんぐらいダニーには心を引っ張られてしまうんですよ。「こんな女にゃなりたくない」ていうのと「私にも思い当たる部分がある」という裏腹な2つの感情によって。

いやー、アリ・アスター監督は自分の失恋での感情を表現したくて映画を作ったっていう話ですけども。彼が映画の中でどこの立ち位置に居るのか非常に気になります。
全然気持ちを分かってくれない相手を、自分の理想を叶えるために犠牲にしてしまったのか。
負担すぎる思いに押し潰されて遣り切れなくなった自分が、相手に裏切られてしまったのか。
はたまた、どちらでもなく只々失恋が悲しくて理想郷へ想いを馳せたのか。

ん?私がこの映画の登場人物だったらどうするかって?
笑顔でドラッグ勧められた時点でケツまくりますよ、ぼかぁ!!

ではでは~~(´ω`)ノ

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